オーストリア科学アカデミーアジア文化・思想史研究所は、アジア文化の探求をその目的としています。当研究所は、東アジア・東南アジア・南アジア・中央アジアを包括する文化的・地理的意味での「アジア」を研究対象とし、インド学・チベット学・中国学・日本学・仏教学・宗教学の諸領域における文化史的・思想史的研究の場となっています。我々の研究は、関連する諸言語で著された原典を基盤とし、文献学・歴史学の手法を用いて、とりわけ、思想史・文化史上の諸問題を解明することに重点を置いており、これらの問題は、具体的には哲学・宗教史研究、宗教解釈学、概念史研究、精神史研究、そして辞書編集などの形で扱われます。我々の研究プロジェクトは、文化学における複合的テーマの研究、重要な原典の解明と校訂、専門辞書の編纂を成果目標とし、その成果には、アジアに関連する様々な専門領域の知見を広げ、アジア諸文化の多様な展開と交流、相互影響の理解に寄与することが求められています。
重点的研究活動
- 哲学・宗教・文化史的意義から見たアーユルヴェーダ文献の解明
- ラーマーヌジャ派とアドヴァイタ・ヴェーダーンタおよびパーンチャラートラ学派との相互関係
- 専門辞書 (初期インド哲学諸派の術語研究; Tantrikabhidhanakosa: ヒンドゥータントラの術語辞典)
- インド・チベットにおける仏教認識論学派の解明
- ヨーガ行者の直覚に関する理論の歴史
- 神道の歴史的発展
また、当研究所は、毎年少なくとも一回、その研究領域に関連した国際シンポジウムを開催しています
研究所略史
1956 | エーリッヒ・フラウヴァルナー (Erich Frauwallner) 教授の提唱により、 「南アジア・東アジア言語・文化研究委員会」(Kommission für die Sprachen und Kulturen Süd- und Ostasiens) 発足。1970年、「南アジア言語・文化研究委員会」に改称。2000年、委員会の刊行物は総数36冊、少数の例外を除き、インド哲学史に関する業績を収録。 |
1983 | 代表者ゲルハルト・オーバーハンマー (Gerhard Oberhammer) |
1986 | 「アジア文化・思想史研究班」(Forschungsstelle für Kultur- und Geistesgeschichte Asiens) が当初二名のメンバーで創設、「委員会」と共同 |
1991 | 「研究班」の「アジア文化・思想史研究所」(Institut für Kultur- und Geistesgeschichte Asiens) |
1998 | オーバーハンマー教授停年に伴い、エルンスト・シュタインケルナー (Ernst Steinkellner) 教授が所長に就任。 |
2007 | シュタインケルナー教授停年に伴い、ヘルムート・クラッサー (Helmut Krasser) |
2014 | 長期療養の末、ヘルムート・クラッサー博士永眠。同博士のリーダーシップにより、研究所はメンバーを20人(半数以上が外部より研究資金を調達)にまで拡大した。IKGAの暫定所長にはヴァンサン・エルチンガー (Vincent Eltschinger) 博士が就任。 |
2015 | ビルギット・ケルナー (Birgit Kellner) 教授が所長に就任。ヴァンサン・エルチンガー博士はフランス高等研究実習院(EPHE)教授に就任する。 |